イププロフェンとアセトアミノフェンは、市販の痛み止めや解熱薬に含まれる有効成分です。
2つの成分の違いを理解することで、自分の症状に適した薬えらびを行えるようになるでしょう。
イブプロフェンの代表的な市販薬はイブ、アセトアミノフェンはタイレノールAなどがあります。
それでは、まずは2つの成分の共通事項から見ていきましょう。
共通事項
どちらも解熱鎮痛に効果のある成分であり、処方薬と市販薬の主要成分として広く使われています。
単体では眠くなる効果は含まれていませんが、他の成分と配合されている場合には、注意が必要です。
また、いずれもWHO必須医薬品のリストに含まれており、世界的にも効果の実証された歴史のある薬です。現在も各国で代表的な薬として用いられています。
続いて、それぞれの成分に関する優位点について解説していきます。
イブプロフェンの優位点
高い解熱・鎮痛効果
イブプロフェンは解熱、鎮痛効果が高く、アセトアミノフェンよりも高い効果が期待できるでしょう。
薬において、最も重要な要素といえる効果は、イブプロフェンの方が優れていると言えます。
これは、成分の優劣だけでなく、日本ではアセトアミノフェンの投薬可能な量が低めに制限されていることも影響しています。
この制限に関しては、見直しの動きもでており、将来的には状況がことなる可能性もあります。
炎症と伴う痛みに効果的
全体の痛みに対して、イブプロフェンは効果的なのですが、特に痛みが炎症をともなう(赤くはれて痛む)場合には、アセトアミノフェンはほとんど効果がありません。
歯痛は赤くはれることが多いため、アセトアミノフェンよりイブプロフェンの方が適していると言えます。
メーカーの効能・効果には、アセトアミノフェンも炎症に効果があるように表記されているため、注意が必要です。
アセトアミノフェンの優位点
長い歴史による膨大な研究データ
世界で初めて医薬品と使用されてから100年以上の歴史があり、他の薬に比べて安全性を証明する臨床結果があります。
対して、イブプロフェンは医薬品として使われてから、50年以上が経過しています。
単純に年数で比較することはナンセンスですが、タイレノールの製造元であるMcNeil Consumer Healthcare社には、アセトアミノフェンの安全性および有効性は50年にわたる150件を超える研究研究データがあります。
ちなみにアセトアミノフェンは、海外ではパラセタモールという名で呼ばれています。
副作用の少なさによる安全性
アセトアミノフェンの最大の特徴であるといえるのが、胃に対する負担が少ないことにあります。
イブプロフェンも他のNSAIDsに比べると、胃の負担が少ない部類の成分です。ただ、痛みの原因物質プロスタグランジンを抑えると同時に、免疫力まで低下してしまうことが最大の弱点であり、どうしても胃障害をもたらすことがあります。
また、イブプロフェンには心血管疾患やアスピリン喘息などの副作用が報告されています。
発生事例はごくまれですが、ぜんそく持ちであったりする場合にはさけた方が無難です。
一方、アセトアミノフェンは決められた量を超えなければ、このような副作用の心配がありません。
副作用で気を付けたいのが、薬を飲んでいるときには問題なくても、長期的に悪影響がでるリスクを抱えている点にあります。
空腹時に飲める
アセトアミノフェンは、前述のプロスタグラジンにほとんど影響を与えないため、空腹時に飲むことができます。
ただし、風邪・発熱時には、空腹時をさけて飲む必要があります。
医師からの圧倒的な信頼
医師からの支持が圧倒的に高く、医者が自分で飲む市販薬として紹介されることが良く見かけます。
特に医師が言及していることは、アセトアミノフェン単体の薬であることが重要です。
多くの市販薬は、アセトアミノフェンに他の成分を配合されています。
確かに解熱鎮痛効果は高くなるのですが、上でも述べたアセトアミノフェンの最大の特徴である安全性が薄れてしまいます。
よって、医師や薬剤師がアセトアミノフェン単一によるタイレノールAを推奨されているケースを多く見受けます。
まとめ
それぞれの成分は、簡潔にまとめると次のような使い分けができそうです。
解熱鎮痛効果を重視するのであれば、イブプロフェン
安全性を重視する場合には、アセトアミノフェン
同一成分の薬を飲み続けると耐性ができてしまい、効果が薄れる傾向もあるため、
成分の違う市販薬を状況に応じて使い分けることが、最も賢い薬の飲み方であると言えます。